おすすめ度
★★☆☆☆(2.5)
恐がりたくない人のホラー入門に。
好きそうな人・苦手そうな人
・ツッコミをしながら映画を見たい人
・C~B級映画が好きな人
・ホラーが好きな人
・恐がることを目的にした人
・質の高い映画が見たい人
あらすじ
TV番組への出演を条件に、「事故物件」で暮らすことになった芸人の山野ヤマメ(亀梨和也)。その部屋で撮影した映像には白い“何か”が映っていた…。
番組は盛り上がり、ネタ欲しさに事故物件を転々とするヤマメ。しかし人気者になっていく一方、次々と怪奇現象に巻き込まれていく。
そしてある事故物件で、ヤマメの想像を絶する恐怖が待っていた――。
(C)2020「事故物件 恐い間取り」製作委員会
作品情報
監督:中田秀夫
主演:亀梨和也
ジャンル:ホラー
時間:1時間51分
備考:書籍「恐い間取り」の映画化作品

紹介・感想
紹介
本作は書籍「恐い間取り」(松原タニシ)を原作に映画化した作品です。
監督は「リング」で有名な中田秀夫氏。
主演はアイドルとして有名な亀梨和也氏(山野ヤマメ)です。
売れない芸人「山野ヤマメ」は相方にコンビの解散を切り出され、途方にくれます。
そんな中、テレビ出演を条件に事故物件に住むこととなり……、という内容。
基本的には、原作の「恐い間取り」に忠実です。
1軒目、2軒目……というように物件を渡り歩く中での出来事が描かれます。
原作との違いは下記の通りです。
・ストーリー性の有無
・映画では描かれていない内容もある
・怖がらせ方は映画の方が直接的
・映画はしっかり幽霊が現れる(原作ではビデオに映っているのみ)
忠実に作られている部類ではないかと思います。
映画のレビューサイトでは低評価が多く、もはやコメディとまで書かれていたり。
世間的にはイマイチな評価です。
感想
映画の感想ではありますが、私は演技や演出については詳しくありません。
ですので、主にストーリーや構成に絞って感想を書いていきます。
以下は終盤に関するネタバレも含みますので、ご注意下さい。
(個人的にはオチを知って見ても評価は変わらないと思います)
終わり方がイマイチな評価の原因といっていい映画です。
本作のような終わらせ方で納得できる人は、そういないでしょう。
セリフが説明的、描写・演出がチープ、その他いろいろな意見があります。
ですが、この作品は終わり方さえうまくまとまっていれば、もう少し好意的に見られたはず。
というのも、本作は物語を作るうえでの地雷の1つをもろに踏んでしまっています。
それは「ジャンルがぶれる」ことです。
終盤まではホラーらしい進行で、事故物件を渡り歩きます。
不気味な現象が起きたり、霊感のあるヒロインが怖い目にあったり。

そして、事故物件を渡り歩く中で、「死神」のような超常的な黒幕が近づいてくる様子が描かれます。
映像に栄えるからなのか、びっくり系の演出が多いですが、ある程度は仕方ないと思います。
ですが、ジャンルが終盤に「ホラー」→「アクション」に変えるのは、さすがにダメです。
黒幕に襲われているところに仲間が登場、御神酒や線香と呪文で撃退。
いつの間にジャンプ漫画に変わったのかと思いました。
最初から二つの要素を含んでいれば問題ないと思います。
例えば、映画「バイオハザード」のようにアクション・ホラーが両立している場合ですね。
ですが、今作は終盤に一切の伏線がないまま、バトルに突入します。
例えるなら、映画「エイリアン」で、終盤にエイリアンと心が通じてペットにするようなものです。

意外性のある終わり方、というのは物語を面白くする重要な要素です。
ただし、それは基本的に読者(鑑賞者)の期待に沿ったものです。
探偵が犯人を見つける道のりや、犯人の立ち回りの意外性を期待するわけです。
いくら意外性があっても、探偵が犯人を特定できずに終わってしまう、なんて求められてないですよね。
私はホラーを「嫌な気分になる」ジャンルと考えています。
最終的にはハッピーエンドでも、その過程が痛みを伴うものだったり、トラウマを残したり。
本作も、割り切ってバッドエンドにしてしまってよかったのではないか、と思います。
主人公は死んで、ヒロインだけ生き残る。そしてヒロインにも魔の手が……。みたいな感じですね。
創作活動をしている人は、是非意識してみてください。
プロが作っても、ジャンルがぶれると悲惨な結果を迎えるというのは、この映画が教えてくれます。
ただ、逆説的になりますが「ツッコミどころが多い」というのはいい点です。
数人で鑑賞会をやって大喜利をする、そんな見方をするのもいいかもしれません。
ホラーが苦手な人も大喜利をしながらなら、見られると思います。
Amazon prime、Netfrix等のサービスで、暇潰しに見てはいかがでしょうか。
それでは、あなたが素敵な作品との出会いに恵まれますように。
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